公式RMT管理の是非

Diablo3でオークションハウスによるRMT取引管理の話が話題になっている。
公式に管理することで何が変わるだろうか?ということを考えてみると、まずBlizzardが明言している
無用な取引トラブルの減少が挙げられる。RMTにおけるアイテムの流れは把握できるので、
トラブルがあったときにアイテムの方の追跡調査は出来る。逆に金の流れは個人口座を見ることが
出来るわけがないので把握できない。代案としては取引用の仮想通貨を発行して換金も可能にすれば
追跡は可能である。仮想通貨を介さないトラブルの問い合わせは受け付けないというようにすれば
みんな使うようになるだろう。ただ、取引間のマージンをBlizzardが取れるかと言うとこれも難しい。
現金取引であった場合は実際の金の流れが把握できないから何%取るとかは出来ないし、仮想通貨
の場合は割合で通貨自体を徴収出来ても所詮仮想通貨なのでリアルの会計として計上しにくい、つまり
利益と捕えづらい。仮想通貨で100万TP(仮の単位)稼ぎましたからといって100万ドルとして売上計上
出来るわけがないということだ。なんせ通貨発行は自分でいくらでも出来るし元手がタダ。それこそ
架空計上が出来てしまうので法律的にも認められないだろう。というわけで、マージンを取るのが困難
ということは本当にBlizzardは取引の場だけを提供するという事になる。また、これにより業者が打撃を
受けるかと言うとそんなことは全く無く、詐欺を初めから考えていない真面目な(?)ゴールドファーマーで
あれば逆に安定した取引の場が増えて大歓迎だろう。その上今まで自社HPを必死こいて管理してきたのが
取引用キャラクターを作ってガンガン売込みするだけでよくなるのだから余計な手間も減る。業者に
とっては一石二鳥である。そういう意味では業者がより活性化する土台が増えるわけで、その点での
議論は活発になるだろう。まとめると、オークションハウスによるRMT管理で変わるのはトラブル減少と
業者の活性化という事が言えると思われる。
 
また、Blizzardがこのような対応をしたことで他者が追従するかと言うと、甚だ疑問である。まず第一に、
今回の対応ではBlizzrdにとって大きな利益が出るわけではないという事だ。無用なトラブルの減少で
問い合わせ対応の費用を減らすのが主な目的であるならば、中堅の運営会社では真似することでの
メリットは無い。Blizzardが巨大であるからこそのメリットなのだ。特に日本の運営会社が前に4亀で
RMT関連のインタビューで口を揃えて言っていたのが「人様の庭で利益を貪るな」であった。
要はRMT会社が利益を出して運営が儲からないのは気に入らないという事だ。その裏にはRMT
撲滅して利益を独占したいという意図がある。それなのに公式にRMTをオークション管理して業者が
活性化したら業者は更に儲かるのに運営はオークションの実装費用だけ取られて利益が出ないと
いう構図が出来上がる。そんなのが認められるわけが無い。よって、利益を出すことが目的の他社は
Blizzardの対応を指をくわえてみているだけで終わるだろうと思っている。そもそもの考え方が違うのだ。
よしんば仮想通貨を発行して仲介料を集金したところで実利益としては計上しにくいために利益には
直結しない。やはり儲けるためにはそんなことに金を費やすより課金アイテムやくじの充実で金を
使わせた方が手っ取り早いのは当然だ。
 
というわけで、Blizzardによる公式RMT管理は話題になれこそすれ誰も真似はしないしすぐに誰も
気にしなくなるだろう。本当に変化が起きるとしたらそれはオークションハウスによる「ついでの」
RMT管理などではなく、それこそ運営がAMAZON化した状態でのセキュアな取引を使った現金取引が
実装された場合だろう。業者などが「出品」したものをカートに入れ、クレカは登録されている前提で
「取引」ボタンを押すと運営にまず金が振り込まれてそこから提携業者(もしくは出品している個人)に
金が振り込まれる。出品者は運営からの振込み先の口座を登録しないといけない、といった感じか。
そうすることで運営は業者全体の元締めになる。そこまで来ると末期だな。。。