海賊版は撲滅可能か?

とあるゲームでPC版が出ないのは海賊版が出ると利益にならないからだと
メーカーが言っていたようだ。PC版じゃなければ海賊版が無いかと言うと
そうでもないのだが、一般的に問題とされている違法コピー・海賊版に対する
対応としてはガチガチの認証を施し、違法アップロードユーザーを摘発する
程度でしかなく、これは何の解決にもならない。ではどうすればいいか?
 
海賊版が作られることを前提としてそれでも利益が出る体制を作る
 
言うのは簡単だが、具体的な手段は固定観念を崩さなければいけない。
一般的なソフトウェアのコストとしては全体としての間接費・直接費(A)に加えて
媒体(CD・DVD)や焼く費用・パッケージ代などの1本当たりの固定費(B)がある。
つまり、利益とは(販売価格からの粗利-B)×売上本数-Aになるので、出荷本数分の
Bが発生するのはとりあえず追いとくとして、1本いくらで何本売れればプラス、という
言い方になる。5000円で5万本売れれば黒字、みたいな感じだ。
 
このとき、「ソフトは数千円で売らないと利益にならない」という固定観念があると
思われる。無意識のうちにAのコストを想定売上本数で割って、1本当たりどれくらい
のコストが掛かっているかを考えがちである。もっとシンプルに考えてみよう。
BはWebで売れば限りなくゼロに近くできる。マニュアルはhtmlのものを用意すれば
初回コストだけかかり、紙を印刷する必要も無い。つまり販売価格×売上本数-Aが
利益になる。流通を通す必要も無いから中抜きされることも無い。そこで仮に
価格を500円にしてみよう。そうするとどうなるか?海賊版を手に入れるよりも
500円払うだけの方が手間が掛からないとは思わないだろうか?5000円(粗利3000円)を
5万本売るよりも500円(粗利500円)を50万本売ったほうが利益になる。
 
要は固定費を極力削った上での超薄利多売だ。ただし、外したときのリスクがあるため、
認証システムはしっかり作っておく必要がある。誰でもWebから登録できてソフトを
購入すると認証キーが配られて、メーカー側ではソフトごとの認証テーブルを作って
顧客IDをキーに認証日時を管理。認証キーをソフトに入れると動くわけだが、それだけ
だと既存の手抜き認証と変わらない。まず認証モジュールは外出ししてはいけない。
外出ししてしまうとクラ改変で簡単にメインのExeファイルと切り離されてしまう。そうではなく
中に入れてしまう。また、認証テーブルで初回認証日時だけでなくIPアドレス(MACアドレス
でもいい)も保存しておいて、ゲーム起動時にサーバーに通信しに行ってIPアドレスを比較する。
当然異なればエラーとなるようにする。エラーとなった場合はソフト認証をロックして
会員ページから申請を出すことでロック解除が可能。今はインターネットがある前提なので
PC版ユーザーはWebに繋げることが出来るのが基本としても問題は無いだろう。
 
出来るだけ認証システムを作りこんだ上で(一度作ってしまえば後は簡単)、ソフトの単価を
限りなく安くして購買意欲を掻き立てる。500円ならiTunesで曲を買うかのごとくソフトが
買える訳で、わざわざ海賊版が出回るのを待つ必要もなく発売当日に即プレイできる。
単価を10分の1にして購入者を10倍以上にすれば勝ちであり、流通を通さなくて良くなる分
さらに利益は上がる。ちなみに特典付きのものはその分価格に上乗せした上で会員登録
された住所に郵送する。ソフト起動時には初回のみ会員IDとパスを入れるようにして
使用された顧客IDパスは暗号化して本体Exe内にバイナリで格納し、2回目以降の起動では
入れ直す必要がなくなるようにして利便性を上げる。初回認証が済んだモジュールを
アップロードしたところでソフト起動時のIP認証で引っかかるから使えない。海賊版の動きを
封じた上で、極力安くすることで買ったほうが早いという認識を植えつける。お粗末な
認証を使用しているから簡単に破られる。認証の強化と価格に関する固定観念の打破が
未来のソフトウェアには必要だと考えている。どうせ海賊版は防げないからPC版を出さない
という後ろ向きな考えのメーカーに未来があるとも思えない。もっとアグレッシブに全ての
海賊版ユーザーを取り込んでやるくらいの気持ちでやってもいいのではないだろうか?
 
20年前ならいざ知らず、今はネットの時代なのだから時代に合わせて流通もネット販売。
古い価値観(日本ならPCソフトは8000円前後が適正という思い込み)からの脱却も
誰かがやらなければ袋小路に迷い込んで停滞するだけだ。安くしてユーザーもWIN、
最終売上としてはメーカーもWINであることを考える時期に来ている。ちなみに
ソーシャルゲームはユーザーから搾り取ることを目的としているので上記のビジネス
形態(WIN-WINを目指す)とは似て非なるものである。