電子書籍は流行るか?

iPad関連で電子書籍という言葉が再び出てくるようになったが、電子書籍自体はまあ流行らないだろうなと思う。
理由はいくらでもあるが、紙→電子媒体にすることで紙のコストダウンが図れるというのは分かる。最初から
電子媒体で作っていればそうだろう。ただし、既存の紙のものを電子媒体に起こす場合は手で移す作業が発生する。
つまり電子書籍用に情報を全て打ち込む必要がある。小説が10館出ていれば全ての文字を電子媒体に手入力する必要があるわけだ。
そうなると既存の紙の発行分の書籍は相当の工数が発生するはずで、少なくとも紙←→電子媒体分のランニングコストの優位性は
一気になくなる。今後作成するものを全て電子媒体で管理する場合には有効だが、一度紙で発行したものを電子管理しなおすのは
かなり無駄が多いということになる。電子媒体の広辞苑が何万もするのを見て買おうと思う人はいないだろう。
 
加えて、電子媒体にすることでコピーしやすくなるという弊害が発生する。ランニングコストが減少する代わりに買う人も減るように
なるために儲からないという欠点が出てくるわけで、メリットが激しく薄い。それを防ぐために専用の電子書籍リーダーを作れば
コピーは防げるだろうけど、統一化された規格が無ければ互換性もないために著作権の委譲もやりづらい。
結局、iPadが一時的に流行っても電子書籍市場が賑わうとは思えないという結論。当のiPadも見た目の真新しさで手に取る人は
多いだろうけど、バリバリ文字を打つとなるとキーボードを取り付けなければならず、そうするとノートPCと大差ない(むしろ性能は劣化)。
どちらかというと「受信する」ことに徹した機能でのコンパクトさの追求においてはいいんだろうけど、人は「発信」したがる生き物であり、
最終的にはニーズの壁にぶち当たりそうな気がする。「発信」できる最高にコンパクトな機体は携帯がすでにあるわけで、
携帯やノートPC以上に便利である点をもっと突き詰めていけないとすぐに廃れそうな気配。少なくとも5万出す価値があるかは謎。
 
ぶっちゃけ、記憶媒体におけるMOドライブ的な香りを感じる。そういえばPDとかZIPドライブなんてのもあったな。。。
ヲタクっぽい人が「ZIPドライブいいよZIPドライブ」って言ってたのを思い出す。iPadも3年後には同じ郷愁を感じるようになるのだろうか。
それはPC-FXやPC-9801DOやX68000にあった甘酸っぱさと同じものに違いない。