グラブル

最近MMOクラスタな友人も新作待ちの時などにグラブルへ吸い寄せられているのを見るに、グラブルはMMO型の
ソシャゲなんだなと思う。そもそもMMOの定義は4亀によれば「主に大人数が一度に同じサーバーにログインして、
同じ空間を共有して遊ぶタイプのオンラインゲームに付けられる分類上の名称」であるが、これに加えて
「同じ空間内に多数のプレイヤーが居ることが(視覚的に)分かる」という暗黙の了解のようなものがあると思う。
 
だが、一般的に言うMMOもソシャゲも数百〜数十万のプレイヤーがログインして主に演算部分をサーバーで行って
表示部分はクライアントという仕組み自体は共通であるし、数時間に1回クエを進めるソシャゲと数時間に1回
狩りを行ってそれ以外は町やフィールドの片隅でAFKするMMOとどう違うのだろうか。自分はさして違わないと感じる。
構造上数名としかPTを組めないものはMOではあろうが、例えばグラブルなんかは更新連打すれば同時接続している
全てのプレイヤーのマルチバトルの救援依頼を見れるし、数か月に1回は数千人が同時に戦うマルチバトルイベントも
開催される。フレンドや団メンバーなどとのチャットによる交流もあるし、どっからどこまでが空間の共有に
なるのか、その垣根も今や曖昧なものになっている。FF14なんかは基本は戦いの場は各ダンジョンのインスタンス
なっているからロビーのあるMOと大差ない。だからといってFF14をMOと言う事はまあないだろうけど、あまり
言葉尻に拘る必要もないのだろうと思う。
 
 
さて、MMOにせよソシャゲにせよもう行き着くところまで行ってしまっていて、行き詰っている感がある。
コンテンツについてはほぼ全てが以下の分類に大別できてしまうだろう。
 
(1)回数系(討伐回数/クエ達成回数/交換アイテム/製作必要素材etc)
(2)運系(レアドロップ/ガチャ/カジノ/強化etc)
(3)アバター系(おしゃれ装備/マイハウス/リーダーカードetc)
(4)つながり系(チャット/ギルドetc)
 
このうち(1)と(2)は「強さ」、(3)は「見た目」、(4)は「交流」に繋がるコンテンツであり、最終的にはこの3つがゲームの
目的になっていると言える。突き詰めていけばニッチな部分でまだコンテンツの掘り下げは出来るかも知れないが
限界があろう。ネットゲームの更なる発展を目指すためには別のものを探さないと駄目だと感じる。
ただ、黎明期のMMOであるUOやEQには上に挙げられている物以外もあった。それは何かというと、「体験」である。
例えばUOではPKやスリとの遭遇など人に関わる鮮烈な体験があった。EQでは初心者エリアに突然湧くヒルジャイアントや
ロックジョーに惨殺されたり、溶岩の洞窟で落ちて死んで死体を回収できない微妙なポイントのため泣く泣く
諦めたり、巨大なレイドボスであるLordNagafenとの初遭遇は震えた。それらは冒険としての体験である。
 
今はリリースされて1週間もすれば情報が出まわって動画まで上げられ、更には戦ったこともないボスとの予習
までやらされて「体験」なんてとても出来ない。それでも新しい時代を目指すには「体験」が再び必要になると考える。
現状で対人や冒険としての単純な今までにない体験を経験するのは情報過多の昨今では厳しいと思いがちだが
まだまだ伸びしろはある。例えば、物体に対して「耐久力」の概念を持たせればどうだろうか。モンスターの群れから
逃げる時に木の吊り橋にファイアーボールを当てて燃やしてしまえば橋は落ちて追手は来なくなるし、細い道の崖で
逆に大魔法をぶっぱしてたら道が崩れて落ちてしまうため、そのような場所では考えて戦わないといけない。
物体に耐久力を付けるのはEQNextで似たようなことをやっていたが(残念ながら開発中止になったが。。。)、
わざと上記のようなことをやって嫌がらせをするプレイヤーが居ることを考えるとクエストやダンジョンの
インスタンス専用の仕様にしたほうがいいだろう。いずれにせよ、プレイヤーの行動で背景と思っていたモノに
変化を起こすことが出来れば多様な体験を想起させることが出来るはずだ。これはあくまで一例である。
 
そういえばSkyrimあたりは武器を振り回して小物などに当たったら飛び散ったりしていたし、一部の開発者は
そういった何気ない挙動にこそ体験を得るヒントがあると気づき始めているのかも知れない。
割とMMOでしか使えない例を挙げてしまったが、ソシャゲについても「体験」を提供することは無理ではないだろう。
コピペゲームばかり作っているDMMでは難しいかもしれないが。。。業界として将来を悲観するにはまだ早いはずだ。
 
ちなみにVRも正に「体験」として期待されている分野であるが、SAOみたいなのは流石に無理だからな?w
感覚に訴える部分は非常にデリケートなので、「痛み」や「快感」を制御するだけでも膨大な研究が必要になろう。
はっきり言って数十年でどうにかなるレベルではないので、あくまで「本当に車を運転している気分になる」程度の
疑似感覚、悪く言えばごまかしのレベルで終わるのがせいぜいだと思っている。市場に出せる程度のコストでは
それくらいが限界なのではなかろうか(どっかの慈善団体が数千兆円をVR研究に出資してくれるなら別だが)。
 
話は逸れたが、今後大ヒットする作品は今までにない十人十色の体験が出来るゲームになると思うので、
開発者の方が見ていたら検討していただきたいと思う。今こそ本当の意味での原点回帰でワクワクを取り戻して欲しい。