ジョブズ?

世間では未だにジョブズジョブズと故人の話が定期的にニュースに上がったりする。
挙句には「伝記を読んでみました」とか言う人も出てくる。普段本読んでないのにそんなもん
読めんのか?マイケルについてもそうだけど、本人が死んでからネタにして儲けようと
している連中に踊らされてるだけだと思うのだが。そもそも本人生きてるときにはApple汚いとか
叩いておいて亡くなったら手のひらを返したようにジョブズ様とか言い出すのもいる。
自分の価値観を外に置いてそれに流されたり踊らされたりするのはお勧めできない。
 
言葉は悪いが、既に居ない人間のことはどうでもいい。特別親しかった人間ならともかく。
我々は「今」に生きているのだから、たまに偉大な先人の業績に思いを馳せる事はあっても、
必要以上に過去に囚われるべきではない。ジョブズに学ぶ戦略なんてのも同様。そんなのは
たまたま過去に状況が嵌って成功した事例であり、今に活かせるとは限らない。過去の素晴らしい
考え方で全部通用するなら孫子呉子六韜三略でも読めばいい。過去は過去であり、今は常に
変化し続ける。今と過去を同一視することは出来ない。今自分は何をしたいのかを
常に問いかけながら行動すれば、無用なプロパガンダに追従する事も無くなるだろう。
 
また、誤解を恐れずに言うと、世界はあなたの中にしかない。もっと言えばあなたの視界に入る
光景があなたにとっての世界の全てである。範囲を広げれば一般的な日本人にとっての世界は
日本までである。つまり世界の各地で飢えと貧困で死ぬ人間がどんなに居ようとそれはあなたの
世界には無いことなのだ。それは単なる言葉遊びではなく、例えば今日本で住んでいて将来外国の
スラム街に住むことになる人間は居ない。ワープアとか多少あるにはせよ、日本国内で飢えと
貧困で大量餓死者が出ることは無い。だから日本人にとっての世界にはそのようなものはない。
同じ理由で日本にとっての世界には戦争は存在しない。今ここにあるあなたとあなたの周りの環境が
世界全体といっても過言ではない。昔の話で言えば、ある閉鎖的な村があって外部との交流は全く
無く、村の外には他の人間はおろか世界は存在しないと教育されていた。その村人達は近隣の
動物を捕獲する以外には全く外には行こうとせず、他に人間はいないという言葉を疑いもせず
数百年をすごしたという。この村人達にとって村以外の世界は存在しただろうか?答えはNoである。
 
今はインターネットも普及して世界中と繋がることも出来るが、それでも世界は自分の手が届く
範囲でしか存在せず、他の世界との関わりとはパラレルワールド同士のリンクのようなものだ。
知る(知識として得る)ことは出来ても識る(体験して得る)ことはできない。後者が可能な場所
こそが各人にとってのリアルな現実であり、以前ダライラマだったかが言って糾弾された「私の世界
には戦争は存在しません」というのはこのことを表している。よって、海外のニュースを集め
まくって事情通な気分になったとしても実はあまり役に立たない。まずは目の前にある現実の今を
地に足をつけて捌いていこう。極論を言えば「いま、ここ」以外の全ては須らくノイズである。