UC終了

ガンダムUCを読破。ガンダムシリーズを小説で読んだのは初めてだったが、大変素晴らしかった。
登場人物それぞれに立場と思惑があり、自分の理想通りに動けない中でも最善を尽くそうとし、好感が持てる。
なかでもマリーダはガンダム史上最高のヒロインといえるのではないだろうか。自分より格上のフロンタルを引き受けてバナージを先に行かせ、
満身創痍になりながらもフロンタルに一泡吹かせてバナージの援護をしに行く。戻れというジンネマンに対して放った言葉である
「マスター、最後の命令はいただいています」に万感の想いが込められている。最後の場面も涙なくしては見られないだろう。9巻は最高の出来だと言える。
ビッチづくしの最近のガンダムにおいて一石を投じる作品なのは言うまでも無い。あまりにも格好良すぎるため、ミネバが霞んで見える。ミネバも悪くは無いんだが。
 
厳密にニュータイプの定義がされているわけではないが、肉体の進化ではなく魂の進化の形として人と通じ合える能力(テレパシー等)を持つ者と言えばいいか。
作中ではアンジェロがユニコーンを「巨人」のように感じたとあるが、機体+魂が一心同体となったまさしく「魂ある鉄の巨人」がガンダムの究極形なのだろう。
この作品のテーマを考えたとき、大人との軋轢の中で少年が成長していく物語、と表面的に捉えることは出来よう。しかし、真実はもっと深いテーマで語られている
ように思える。それは人の進化の先にあるものは何か?というテーマだ。いくつかの材料は作中で触れられている。それらをどのように感じるかは個々人に
よって異なるのではないだろうか。アニメでどこまで表現できるかは気になるところである。気になるといえば、義父にレイプされて売春までやって少年期を過ごした
男や、大人たちに公衆便所として扱われ続けてきた女の過去をアニメで表現できるんだろうかという問題。それらの過去や葛藤まで含んでのUCだと思っているので
都合の悪いところを全てカットすると色々な繋がりが見えにくくなるかもしれない。家族を連邦兵に死ぬまで強姦され、死体になったら小便を掛けられて人の尊厳を
徹底的に踏みにじられていた男達のやり場の無い憎悪と絶望など、生々しい部分もただの殺戮だけで表現されそうではある。アニメでしっくりこなかったら
小説を読み直してみるといいかもしれない。朗報としてはブライトやカイが出てくることか。旧作ファンには堪らないだろう。
なにはともあれ、アマゾンで購入した甲斐があるというものだ。少なくとも小説版は最高の出来だと言っておく。